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「百年読書会」6月の本は、向田邦子の『あ・うん』

僕は子供のころから、TBSで放映されていた久世光彦演出の「向田ドラマシリーズ」が大好きだったのだけど、小説としては今回はじめて向田作品を読みました。『あ・うん』は2000年にドラマ化されたようですが未見です。

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「男2+女1」の三角関係に悩んだ経験のある男にとって、正直なところ、この話は心痛い。門倉の気持ちも、水田の気持ちも分かる。どちらにも“肩入れ”が、できない。たみは僕にも魅力的だ。僕はさっぱり成長していないらしい。

そうだ、描写から彼らの心情を推し量るといった “読み解き”は止めよう。そんな読み方は似合わないのかもしれない。本当は水田とたみのなれそめも気になるが、昭和初期という、江戸と東京がまだまだ日常の中で交差していた時代の空気に身を浸そう。それに、ちょっととぼけた味のある初太郎や、直情型だけど人のいい禮子、おおらかな包容力を見せる君子など、どこか和ませてくれる脇役陣も揃っているじゃないか。

中でも、門倉の“三号さん”が発覚したときに“二号”の禮子が発した、まるで江戸落語のような威勢のいい次の一言は痛快だ。
「三軒目のうちが三軒茶屋なんて、
ふざけるのも大抵にしろっていうのよ」
 いよっ、禮子さん!

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あ・うん (文春文庫)

向田 邦子 / 文藝春秋


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朝日新聞さんの企画「百年読書会」への勝手な“のっかり企画”、「ひとり『百年読書会』」と命名することに。

6月の本は、向田邦子の『あ・うん』。持っていなかったので、書店に行ったはいいが、なんと背表紙が色あせていた。古本ならともかく、“背やけ”している本なんて買いたくないですよね。しかし、他の書店には同書が置いていない。ここが小都市のつらいところで、アマゾンでとも当然考えたが、早く読みたい気持が勝り、背に腹はかえられぬと泣く泣く背やけ本を購入。

(↓ ちょっと分かりづらいですが、文春文庫の向田邦子シリーズは本来、黄色の背表紙なんですよ。)
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僕は思ったのですけど、「百年読書会」が取り上げる、その月の作品を目当てに書店をのぞく人がけっこういると思うので、僕が書店の人だったら、その月の作品を多めに揃えて、目につきやすいところに配置しておくけどな。

で、そんなことを書きながら、も一つ思った。僕でさえ思いつくようなことをプロが考えないわけがない。店頭に並んでいるのは1冊だけだったが、きちんと裏にストックを揃えていたりして。お店の人は「背やけ本が売れたわい、しめしめ」と言いながら、裏からきれいな本を持って来て、書棚に差し込んだかもしれない。うーん、それは口惜しい。

「すみませんが、背やけをしていない『あ・うん』ありますか?」と聞いてみるべきだったと、反省。
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