百年読書会


『朝日新聞』で、この4月から、百年読書会という企画が始まったようです。僕も送ってみようと思って書いておいていたのだけど、いざとなるとちょっとためらってしまったので、ここに紹介することにしました。

4月は『斜陽』(太宰治)

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結局、直治は貴族としての自分から逃れられなかった。いや、むしろ逃れようとしたことなどなかったのではないか。

命を絶ったのは、今や自分が貴族でなくなったこと、自恃の最後の拠りどころを失ったからだと思えた。貴族であるからこそ、「薬物やアルコールに溺れる貴族」という自分に酔えたんだ。

こんな直治(あるいは太宰その人)に対する人の思いは? 嫉妬まじりの嫌悪か、憐憫というより共感のまじった憧憬か。それとも、もう一つ。嫉妬まじりの憧憬か。

この作品を読むのは、十数年前の学生時代以来だ。前回の印象は、「恋」と「革命」のキーワードに引っ張られ、ただ“ぽっぽした”心を静かにかき立てられたこと。ストーリーもほとんど忘れる程度のもので、今回、初読のような気持で読み進めたのである。

物語も終盤。「姉さん 僕は、貴族です」の箇所で、はっと目がとまった。前回もこの告白で胸を熱くしたことを思い出した。


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